『つぶやき猫鷲今何処・ブログ版』インフォメーション
|
[ブログ内検索フォーム] ブログ内の記事を検索することができます。
[ブログ新着記事5件] |
狭あい道路拡幅事業の問題点
2008.12.21 UPDATE
【狭あい道路】
狭あい道路とは、いわゆる公道の内、その幅が4m未満であり尚且つ1.8m以上の物を特別に指して付けられた名前のようです。
一般的な言葉ではなく、とある公共事業のために特別に設けられた言葉で、その事業の対象となる道路のことです。
その事業は、地方公共団体によって呼び名に多少の揺れがありますが、「狭あい道路拡幅事業(きょうあいどうろかくふくじぎょう)」のような名称で呼ばれています。
【狭あい道路拡幅事業】
狭あい道路拡幅事業とは、主に都市部の地方公共団体が行っている道路拡幅事業のことです。
一般的な目的は、そのホームページ等で説明されている通り、火災等の防災上・緊急車両の通行等の住環境上の両問題に対処するためであり、狭あい道路を拡張する事により一般的な「道路」としての利用価値を高め、都市全体の環境を整えることを最終的な目標としているようです。
しかしながら、その事業の大元は国の定めた法律、建築基準法です。
昭和30年に施行された土地区画整理法に端を発し、諸々の法律を含んで現在の建築基準法に繋がっています。
その建築基準法第42条第1項において、規定する「道路」が4m以上の物と定められ、同時に第2項においてその4mに満たない「道路」においても、道路の中心線から左右に2mを「道路」として扱えるように記述されています(以降の項目においてさらに細かい条件での記述もあります)。
狭あい道路拡幅事業は、その法律に基づいて「道路」の環境を整えるために行われている事業のことなのです。
【一般的に行われる狭あい道路拡幅事業】
その中で、一般的に行われている狭あい道路拡幅事業は、以下の様なものとなります。
「道路」に満たない、いわゆる狭あい道路に面した土地において建築物を新築・増築する場合に、その旨の申請が必要となり、同時に狭あい道路に関する協議が、その区域の地方公共団体の担当する者との間で必要とされます。
その協議の結果如何となりますが、どちらにしても最終的には、道路中心線より2mの範囲には新規の建築物は建てられず、さらに塀や門などの境界建築物も、壊した後に後退した位置に新しい物を造る必要が生まれます。
道路中心線より2mの範囲を設けるために空けた自分の土地は、地方公共団体に寄付をするか、または寄付をしない場合には自分で相応の道路に整備をする必要があるようです。
つまり纏めると、今現在自分の土地として利用している場所を狭あい道路の拡幅整備という目的のために、無償で提供するか、または整備して道路として利用できる状態にするか、の選択を迫られるというわけです。
ちなみに、地方公共団体によってその差がありますが、狭あい道路拡幅事業に対して援助金・助成金を出してくれるところもあります。
その場合の多くは、寄付を条件として、その拡幅の際に邪魔となる境界建築物の撤去費用の負担であり、上限の金額も設けられているようです。
中には格安ながらもその土地を買い取ってくれるというところもありますが、その一方で、何も援助金・助成金を出さないという地方公共団体もあったりします。
【拡幅される範囲】
先ほどから何度も書いています狭あい道路の拡幅ですが、もう少し詳しく説明しましょう。
まず狭あい道路とは、「道路」とされながらも、現状では「道路」に達していない道路のことを指す言葉だ、というのは先ほど書いたとおりです。
しかしながらその狭あい道路も、建築基準法第42条第2項によって、「道路」とみなされています。
すなわち、その狭あい道路の中心線から左右に2mずつに平行に引かれる線を「道路」の境界線として、その内側を「道路」とするわけです。
これにより、例えその狭あい道路に隣接している土地に家屋や建築物があったとしても、そこが狭あい道路の中心線から2mの範囲内であれば、問答無用で「道路」となってしまうことになります。
しかしながら、そんな事を全国規模で行ったらさぁ大変。間違いなく大騒ぎになるでしょう。
既存の道路で、問題なく1.8m以上4m未満の条件を満たす道路なんて、それほど多くはありませんから。
むしろほとんど無いと言った方が正しいでしょう。
そのために、またはこの法律の実効力を高めて都市計画を進めるために、それぞれの地方公共団体の間で「狭あい道路拡幅事業」と称する事業を行うところが増えてきたわけです。
その事業では、建築基準法第42条第2項と同じ道路境界線を基準として、その内側を「道路」として公に整備すべく、土地の所有者に対して道路境界線と交錯する後退区域(拡張整備区域)の収用を求めるわけです。
例えば、私の家が建っている土地の境界線が、その前にある狭あい道路の中心線から1mしか離れていなかったとしましょう。
そうすると、規定では「道路」は4m以上の幅が必要なわけですから、その条件を満たすために現在の中心線からの距離1mに、さらに私の所有している土地1m分を加えて、合計2mが新しい道路の片方の道幅となるわけです。
その狭あい道路との面している距離が例え何メートルあろうとも、この条件は変わらず、面している道のり*後退距離の面積が後退区域(拡張整備区域)として利用(事実上の収用)されるわけです。
【ここから見えてくる問題点】
さて、ここまで読んでくると、この「狭あい道路拡幅事業」に問題点があることにご理解いただけるかと思います。
その問題点とは、つまり、拡幅される後退区域(拡張整備区域)が無償で公的に利用される、または収用されてしまうということです。
それは、大元となる建築基準法第42条第2項において記載されている内容からして既におかしい事が発端となっています。
全国的に一定の道路基準を設けるのは大いに結構です。
しかしながら、その道路の基準に当てはまらない道路についても、何もせずに道路として利用できると、この法律では記述されているのです。
つまり、「公に道路未満の道路周辺の私有地も道路として利用するよ」とこの法律は述べているわけで、これは個人の財産権を侵害するのではないかと思えるほどの矛盾点だと私は考えています。
もちろんその財産権も、必要があれば公共のために用いることは出来ますが、それにも正当な補償が不可欠となるはずです。
今現在、全国的に行われている「狭あい道路拡幅事業」には、この正当な補償が支払われない場合がほとんどです。
例え助成金や援助金が出るとしても、その対象は壁や門の撤去や、良くてその新設にも払われる程度で、財産として一番価値の高い土地に関してはほとんどの場合無償提供(の強要)、よく言い換えれば寄付(の強要)が行われているわけです。
これは、まったくもっておかしい状況ではないでしょうか?
拡幅事業によって私有地が公的に用いられるのならば、その補償も行われてしかるべきです。
さらに、公的利用と称して無償提供や寄付を迫る行為は、脅迫に相当する行為なのではないでしょうか?
【拡幅事業自体は問題ない】
敢えて書きますが、私自身は狭あい道路を拡幅する事業の存在自体は、とても良いものだと考えています。
日本では特に都市計画において、その計画性に疑問を呈さざる終えない状況がありますが、その中でも最も基礎となる生活道路の整備は基本的な生活基盤を整える上で不可避となるものです。
また、消防車や救急車といった緊急車両の通行に関しても、それは効果を発揮することでしょう。
厳しいことを指摘するのならば、その施行の模範となる部分を残した上で、全国的にそれぞれの地域の特性にあった条件が適用できる様に柔軟性を持たせるべきなのではないかと、そう思うわけですが。
やはり道路の拡幅というのは、道路の整備の基礎であり、その必要性になんら疑問は生まれません。
問題なのは、やはりその実行方法なのです。
【狭あい道路の拡幅には柔軟性と補償金を!】
日本というのは本当に土地が狭い国です。
その狭い土地にぎりぎりいっぱいの大きさの家を建てようとする傾向もあります。
ですから、いざ道路を拡幅しようとしても、そう簡単にはいきません。
その様な現状を鑑みてか、全国的に「狭あい道路拡幅事業」には時間的制限は課せられていないわけですが、その一方でその条件と方法については、上記の通りかなり厳しい制限が課せられているのではないかと思います。
補償金は支払われず、さらにその拡幅する規格についても全国的に画一的。
何故こんなにもガチガチに凝り固まった性質の事業になっているのか、私には理解しかねます。
もちろん、全国的に一定規格の道路を作る事業の存在自体は素晴らしいのですが、土地や地方によって道路というのは如何様にも変化するもの。
その全てに道幅4m以上という規格を備えさせるのは、かなり厳しすぎる気がするのです。
少なくとも、土地が平面な地域と土地の起伏が激しい地域の二通りに分けて基準を設けるべきであり、さらに街並み自体が価値を持っているような地域においては別途保護する基準を設けるべきでしょう。
さらに超過密的な地域においては、また別種の基準とともに、再開発も念頭に入れた統合的な都市計画を練る必要があるとさえ考えられます。
そして、その際に必要なのは、そこに地域に住む住人に対してきちんとした補償を行うこと。
公共機関は、昔の名残なのか、どうにもこの補償ということに無頓着でいるようですが、都市計画というのはそこに住む人のために行うものなのであり、住む人を無視した都市計画などに何の意味も生まれません。
きちんとした補償をせずに土地の収用を行ったり立ち退きを迫ったり、住む人を無視してそして得られるものは、後々に尾を引く悔恨と住人同士の不和です。
これは後に犯罪率の上昇にも関係する可能性として無視できません。
必要なのは、公共事業らしく、万人に当てはまる柔軟性と、協力してくれる人に対して補償金を充填すること。
これらを無視して、完全なる公共事業の完成はあり得ません。
何故ならば、公共事業は人のために行うものだからです。
現状においてこの様な問題点を含んでいると思われる「狭あい道路拡幅事業」について、地方公共団体と国(政府・議会)は正確な現状認識と法律の改正、そして是正を行うべきだと、私は考えています。





